「おい、行くぞ美っちゃん」
だから、私は美っちゃんじゃないんですってば!
でも、なんで美っちゃんなわけ?そりゃ、私が名前言い終えるか否かのタイミングでキスされちゃったけど。
「あの、携帯返してよ!」
私が言うと、彼は聞こえぬふりで私の腕を引っ張って歩き出した。
「あのっ!」
「夕べの気迫はどうしたわけ?」
いきなり聞かれて私は戸惑った。
「どうって…」
「あんなに怒ってたくせに」
でも、さっき私の腕を掴んでた赤毛の人の態度見てる限りでは、この人、だいぶお偉いさんなんでしょ?怒ろうにも怒れないっていうか…。
「つぅか、俺言ったよな?体鍛えろって。か弱いままだと何されるかわかんねぇぞ?」
私はそっぽを向いた。



