「おい」 不意に、下から声が聞こえた。 「あ?」 赤毛の人が振り向く。 「俺の女に手ェ出すの、やめてくださいよ、先輩」 その声は、聞き覚えがあった。私が、思わず助けを願ってしまった相手。 「こ、この女、お前のだったのかよ…」 赤毛の人の声は上ずっている。 「いつまで腕掴んでるんすか」 「ゆ、許してくれっ」 先輩のが、後輩に見える。 変なの…。 上下関係が入れ替わってるよ。