「結婚式の一週間前に、急に婚約破断になって。それで自殺するために家を飛び出してきた」

 ナツが呟く。

「そうだったんですの…」

 私は他に言い返す言葉が見つからなくて、それだけ言った。

 結婚式前に婚約破断。

 私と似通った運命だった。

「…私も同じですわ」

 私の言葉に、ナツは目を見開かれる。

「オマエも、婚約破断になったのか?」

 ナツが聞いてくる。

「えぇ、そうですわ」

 それから私はため息をついた。

「俺、そろそろ帰る」

「帰る家、あるんですの?」

 私が聞くと、ナツは足を止めた。