道路に誰かが倒れていた。 「…誰?」 そっと聞く。 返事はない。 「大丈夫…ですの?」 もう一度尋ねる。 倒れている相手の顔を覗き込む。 「!」 顔の横にある右手が切れていた。 そこから出血している。 「ちょっ――どうなってるんですの!?」 私は倒れている人――男の人の出血していない左腕を掴んだ。 左腕を持ち上げて私の肩に回した。 重い! 鞄以上に重いものを持ち上げたことがない私にとって、がっしりした体格の男性を支えるのは難しかった。