――俺、純也。木下純也だよ。♪このー木 何の木 気になる木ー♪の『木』に上下の『下』、純愛の『純』に手越祐也の『也』で、木下純也。

 自己紹介から独特だった純也は、天然記念物並に天然。

 天然なところとイケメンなところが女子受けいいみたいで、いつも女子に囲まれてるんだ。

 なんて思っていると、肩を叩かれた。

「ふぇ?」

 美紀みたいに変な声が出る。

 美紀っていうのは、私の親友。高校卒業後、難関私大に合格したんだって。

「どうかした、ボーッとして?」

 聞いてきたのは純也。

「え、ううん、なんでもない」

 私は慌てて首を振った。

「講義、終わってるよ?早く移動した方がいいんじゃないかな。それと、これさっきの講義のノート」

 純也にノートを差し出された。いつも似顔絵を描いて講義が終わる私に、純也はノートを貸してくれる。