「美紀以外の子と、そんなことしないよ」

 俺が言うと、美紀は俺から目を背けた。

「その言葉…信じていいの?」

「信じてくれ、美紀」

 俺は美紀の頭を撫でた。

「わかったよ、博斗」

 美紀の言葉に俺は手を止めた。

「やっと呼んでくれたね、名前で」

 俺が言うと

「一回だけだからね?」

 美紀が言う。

「…博斗…――」

 美紀は、初めて日本語をしゃべったアメリカ人みたいに俺の名前を何度も繰り返す。

「マッキー」

 美紀が振り向いた。

「マッキーって呼ぶのもいいけど、たまには博斗って呼ぶのもいいかもね」




   END