「俺のこと、マッキーって呼ぶな」

 俺はそっと言った。

「一度でいい。博斗って呼んで」

 美紀は首を振る。

「なんで嫌なんだ?」

「マッキーは私のことどうでもいいんでしょ?会えないって言ったのも、あの人とデートするからなんでしょ?」

 俺は美紀をもう一度抱き寄せた。

「やだっ…!私のこと好きでもないくせに!」

 美紀は、思い込みが激しい。

「好きだよ、美紀。愛してる」

 俺が言うと、美紀は暴れるのをやめた。

「あの人は俺の会社の取引先の人だよ」

 美紀は俺を見上げ、

「体の取引相手じゃなくて?」

 と不安そうに聞いてくる。