いつもなら、声をかけられないようにしていたし、龍二とも口を利いていなかった。

 だけど、私が今頷いてしまったのは、トイプーくんが「男」を感じさせなかったからかもしれない。

 …まぁ、いっか。

 私は、頷いてしまったことに軽く後悔しながらも、放課後裏庭――つまり、私がマッキーと初めて会った場所だ――に行くことにした。

       ☆

 授業に出る気がなくて、私は屋上へ向かった。

「あー、寒い」

 まだ、二月。江戸時代では春だったなんて思えないくらい寒い二月。

 吐く息が白い。

 私はかじかみそうな手に息を吹きかけた。

 そっとY高校に目を向ける。

 別れる前は、Y高校の屋上にマッキーが座ってることが多くて、サボりに来るたびにマッキーを見かけてはしゃいだ。時にはマッキーを見たいあまりに授業を抜け出すこともあった。