そっと聞くと、龍二は起き上がった。

「さぁな?」

 それだけ言って、また空を見上げ、

「雨降ってきた。俺は先戻る」。

「…」

 龍二の言葉に私は空を見上げた。

 ホントだ。ポツリと雨粒が降ってきた。

 空を見たまま何も言わない私に、屋上を出て行こうとした龍二は

「一つ言っとく。花梨はさ、お前が思ってるようなか弱い女じゃねぇんだぜ?」

 そう言って、出て行った。

「……」

 私は何も言わず、佇んでいた。