「ミッキー、またエロい想像したでしょ」
マッキーが聞いてきた。
「してないもん」
エレベーターがチン、と鳴る音と声がかぶった。今の私の声はきっと、マッキーには届いていない…。
マッキーはエレベーターを降りてすぐの扉に慣れた手つきで鍵を差しこんだ。
中に入った途端、私は息を呑んだ。
マッキーがお金持ちってことは知ってる。でも、マッキーの部屋は一人暮らしをするためにはあまりにも広かった。
玄関だけでも六畳はある。部屋は私の家何個分なんだろう…。もしかしたら、このマンションの最上階はマッキーの部屋だけなのかもしれない。
「お邪魔しまーす…」
私は中に足を踏み込んだ。
「あ、靴脱がなくていいから」
ローファーを脱ごうとした私にマッキーが言う。
「そうなの?」
中はソファとテーブルとベッド、それからテレビくらいしかなかった。備え付けの台所に調理器具が並んでるけど、あまりにも生活感のない部屋だった。この広い部屋なのに、こんなけしかないのはもったいないなぁ…。



