『好きだよ』



止まった足を動かして中に入る。


真っ直ぐ祥弥の所に歩く。


たどり着く前に祥弥が気付いた。


「あ、楓じゃん。なんだその荷物。」


「雅カップルと買い物してきたの。それより祥弥、泊まった時は気になる人居ないって言ってたくせに彼女ー?」


からかうように言えば、頭を小突かれた。


「あだっ。」


「違うっつーの。まぁ、大学の同級生なのは確かだ。」


同級生ね…。


祥弥気付いてないね。


同級生さんが同級生って言われてムスッとして私を睨んでる事。


「はじめまして。紀野楓です。祥弥は私の兄の同級生で仲良くしてもらってます。」


私から挨拶をする。


「そうなんだー。」


興味なさ気に同級生さんは言った。


…睨むなし。


私だってあんたを睨みたいくらいだ。