『好きだよ』



「で、最近楓はどうなの?祥弥さん。」


「ごふっ!」


急に雅が話しかけてきた-それも祥弥の話題-から危うくチャーハンをふきだす所だった。


「なんであいつ?」


「いや、その後展開はあったのかなって。」


「ないから。」


「ないの?!」


「逆になんで驚くの?!」


「だって絶対祥弥さんも楓の事好きだよ?勇気出してコクっちゃいなって!」


「その根拠はどこから来るのよ………。」


大和君だけ話についてこれてなくて「え?なに何の話?」と雅に聞いているが雅は完全無視。


もうちょっと彼氏を大事にしなさいよ…。


「だってさ、この前楓ん家泊った時も楓の事めっちゃ心配してたじゃん。楓がくしゃみしたからお開きとか、普通言わないよ?」


「だから、それは…。」


「厳しい事言うけどさ、楓はそうやって逃げてるんだよ。」


グサリと、雅の言葉は私の心に突き刺さった。


…そうだよ、私は逃げてるんだ。


振られるのが怖くて、逃げている。


傷つくくらいなら、我慢してた方がいい。


「そんなんじゃ駄目だよ、楓。楓は強い子じゃん。私だって、楓に背中押されたから大和に告白できたんだ。だから大丈夫。」


「雅…。」


ね?と笑う雅がとても頼もしかった。


あぁ、ここがラーメン屋じゃなければもっと頼もしく見えていたかもしれない。