『好きだよ』



ちなみに渉は兄ちゃんのこと。


兄ちゃんは大学の寮に今住んでいる。


だから家には居なくて、隣の部屋は空いているのだ。


ベットは雅に取られるから私がそこで寝ようと思ってたのに……。


もういろんな意味でパニくってる。


「下着ね、ちょうど渉にどうかなって買っておいて未開封のあるからそれ使っていいわ。」


「いいんすか?」


「うん。渉は『こんなん履けねぇ』っつって置いてったのだし。パジャマも出してあげてね楓。」


「私!?」


「当たり前。お母さんもう寝るから。」


「じゃぁお邪魔しますね。おやすみなさい。」


「おやすみー。」


お母さんは欠伸しながら私の部屋を出て行った。


おいおいおいおいおいおいおい。


マジかよ。


これはまた雅が喜びそうな……。


「とりあえずさ、雅の後にお風呂入ってきちゃってよ。」


「楓先でいいよ。仮にも女の子でしょ。」


「仮じゃない仮じゃ!…パジャマとか色々部屋の準備あるし、もうすぐ雅出てくるから。」


と話しているとドアが開いて噂の雅が帰ってきた。


雅は家のお風呂が好きらしい。


なんでも広くてくつろげるとか。


…まぁ新築ですからねー。


「はい、バスタオル。てな訳でいってらっしゃい。」


「…分かった。お先な。」


ちょっと納得いかない顔しながら投げたバスタオルを片手でキャッチして私の部屋を出て行った。