「きゃっ! 大森、くん、やだぁ!」


足をばたばたさせて抵抗するけど、あっという間に両手を掴まれて上に抑えつけられた。

それでも何とか逃れようと体を捩る。大森君は片手で私の両手首を抑えてるのに、びくともしない。


「大森君、大森君…」


泣きそうになって、お願いだからやめてほしいと悲願するように、大森君を何度も呼んだ。

でも大森君は、私と目も合わせてくれない。

じっと、私の体を見つめる。

する…、と。大森君の掌が私の足をなぞるのを感じた。


「っ!! 嫌ぁ、やめてっ!!」


必死に抵抗する。大森君の手がどんどん内側に近づいてきて…


「ひっ…く、やだぁ…おおもりくん、なんで、こんな…」


とうとう泣き出してしまった。それを見て大森君がはっと何かに気づいたように、私の眼を見る。

一瞬悲しそうな顔をしたけど、すぐに私を憎むような怖い顔になった。


「どうしてっ!!」


大森君の叫び声に体がビクッと反応した。


「俺がっ! どれだけ我慢したと思ってるんだ!」


…え? 突然の事に頭が真っ白になる。


「俺に、あんな笑顔見せて…。カフェの時だって、あんなに簡単そうにすり寄ってきて…」

「ぉおもり…くん…?」

「ずっと前からの夢だったのに…。別れるとき、どんなに辛かったか…」


大森君の声が、どんどん振り絞ったように、泣きごとのように、弱弱しくなっていく。


「お前にわかるのか!!」

「っ!!」

「今までさんざんしたんだ。もう我慢なんて、しない…」


大森君が私の片足を持ち上げる。