One Single Color

「ねえ、許してほしい? 許してほしい?」

「カッ、…」

「あ、でもこれじゃ前と同じか。これじゃ瑠璃子はすぐ約束、破っちゃうよね」


すると何を思いついたのか、私を突然解放した。

ぜえぜえと吸う息が、全て暑くてしょうがない。

そんなものには目もくれず、瑞希君は今度は私の顔を掴む。


「俺のものだって、言えよ」


またあの、冷たい眼差し。


「あなたは誰のものですか? ちゃんと言えよ?」

「私は…、瑞希くんのっ…うぅっ!」


顔を揺さぶられた。


「『様』。やり直し」

「…っ、ひっ…」


またすぐ、泣いてしまう。


「私は、瑞希様の…ものです…」


言った途端、何故か体が熱くなってしまう。息も短くなり、視界がぼやける。


「…っはは!! 何、顔赤くしちゃってるの? …興奮してる?」

「っ!」

「あんなこと言わされて喜んじゃうなんて…もしかして、変態?」


無意識に体が跳ねる。


「瑠璃子ってば、マゾなの?」

「う…あぁ、はぁ…あ…」


今まで感じたことのない熱さが体中を駆け巡る。

頸動脈の血の流れが早すぎて、爆発してしまいそうだ。

いけない。こんなの変よと自分に言い聞かせようとするが、どうやっても欲しがるような顔しかできない。


「瑞希、様…、瑞希様…」


だれか、助けて。