One Single Color

する…。私をもっと強く抱きしめたことによる衣擦れの音が聞こえる。


「大好き。愛してる」


瑞希君は続ける。


「瑠璃子が好きなんだ。なんで、わかってくれないの? 

 どうして、俺のものになってくれないの?

 …俺だけを、見てほしいよ…」


余裕のない声と同時に、彼が頭をうずめてきたのを感じる。

ゆっくりと、息を吐いてみる。抱きしめてくれた瑞希君の体温を味わう。

すると刹那、瑞希君が私の首をつかんで壁に押し付けた。


「ッ!!」

「なら、やっちゃおっかな…」


掴まれたまま、上へ上へと引き上げられてく。半ば無理やり、立たされた。

首が苦しくて、頭の中が恐怖に染まる。


「あぁ…その視線、たまんないね…最高だぁ…」

「ぁ、かッ…ぅぁ…」

「ほら、ほら」


ぎりぎりと、まばらに絞める力を上げてくる。


「もっと怯えろよ、ほら!」

「…ッ、ァ…」


手の力をほんの少しだけ緩めて、瑞希君は耳元で言う。


「そういえば、まだ名前呼んでないよ」


もちろん返事なんてできない。何もできず苦しんでいる私を見て、瑞希君は笑っている。