「ったく、最後の部活だから体育館に顔を出してみれば……何だ、このジメジメした空気は。」
溜め息混じりに体育館に入ってきたのは、監督。
号泣するあたし達を見て、監督はうっ……と唸って一瞬足を止めた。
「はあ……こんな引退前の部活、初めて見たわ。」
思い出すように天井を見上げてから、頭を掻きながら監督が言った。
「お、俺達、このメンバー大好きですもん!!!!」
「だから、部活やめるの……寂しくて……」
「お、俺達も、先輩大好きです~!!」
「や、やめちゃうなんて……寂しいです……」
そう言う先輩やあたし達を見て、監督はまた溜め息を吐くと笑った。
「まあ、お前等仲良かったもんな。毎日毎日楽しそうにバスケしてらもんな。大変なこともあったし、前の奴等は乱暴者ばっかだったからな。よく頑張ったよ、うん。よし!!!!」
そう言い終えると、監督は両腕を大きく広げた。
「今回は、特別だ。3年全員、抱き締めてやる。」
「「か、監督~!!!!」」
「うおっ!!!!?お前等、一気にくるんじゃねえよ!!俺の年も考えてだな……」
とか言いつつ、監督は笑って先輩達の頭を撫でたり、背中をさすっては「よく頑張った。」とか「また、遊びに来い。」とか言っていた。
そんな微笑ましい光景を見て、知らないうちにあたし達の涙は止まっていた。
悠くん1人を除いてね。


