「はあ~、本当に、インターハイ出場することになったんだな。」


試合終了後会場の中を歩いていると、隣を歩いていた悠くんが天井を見ながら言った。

その横顔は、あまり実感が湧かないといった表情だった。

「ふふ、まだ実感湧かない?」
「う~ん……だってさ、あの強かった桜花に勝てたのも信じられないくらいだし。まあ、個人的には瞬ちゃんに勝てなかったからってのもあるけど。」

ははっと笑って悠くんは首の後ろに手を当てた。

「あ~、悠、結愛。」
「「噂をすればだね。」」
「あはは、僕の噂してたの?」

前からふにゃっと柔らかい笑顔を浮かべた瞬ちゃんが手を軽く挙げながら近づいてきた。

「瞬ちゃんには勝てなかったなー。」
「そんなことないよ、僕だってギリギリだったんだから。」
「ふふ、このやりとり久しぶりに見たなあ。」

中学の頃、瞬ちゃんと悠くんはよく1on1をやってはこんな会話をしてたのを思い出す。

そんな懐かしい気持ちになってると、


「おーい、悠、結愛。」
「あ、蓮次くん!!」

蓮次くんがあたしと悠くんに駆け寄ってきた。