悠くんとダイ先輩が第3クォーターから入ると、相手のチームもメンバーチェンジしたのか瞬ちゃんの姿が見あたらなかった。
「瞬ちゃんもメンバーチェンジしたんだ……」
「……体力温存させて、最後の切り札として出してくるんだろうな。」
蓮次くんが汗を拭って言った。
「こっちと考えは同じか。」
「え?」
「ウチの切り札はお前だからな、桐谷。」
監督はコートの中を見ながらしれっと言った。
「……マジですか……」
「嘘言ってどうするんだ。」
蓮次くんは目を丸くしながらも、少し嬉しそうに口角を上げた。
「……じゃあ、体力温存しときますね。」
「ああ、頼んだぞ。」
蓮次くんはベンチの背もたれに寄りかかりながらふうっ、と息を吐いた。


