「何だよー、んな怖い顔すんなよ。ほら、同じ部活の人達もびっくりしてんぞ?」
「黙れって言葉、聞こえなかった?よくそんな平気な顔して僕とダイちゃんの前に出て来れたもんだよね。」
「ヤス、俺は気にしてないからいいって…」
「ダイちゃんが気にしなくても、僕は気にするんだよ。コイツの神経はおかしい。」
何だかバスケの試合前に、一試合始まってしまったみたい。
オロオロするダイ先輩、何も言わずにお互いを睨む成田さんとヤス先輩。
でも、3年生の先輩達は黙って様子を見守っていた。
1年のあたし達はどうすることもできず、ただその光景を見ることしかできなかった。
「何、まだ気にしてんの?本人が気にしてないんだからいいんじゃねぇの?」
「そういうお前の神経がおかしいって言ってんだよ。よく何もなかったように平気な顔してられるな‼︎」
「ヤス!!」
今にも成田さんに噛みつきそうなヤス先輩を、ダイ先輩が止めた。
「ダイちゃん、何で止めるんだよ!!コイツはダイちゃんに怪我をさせた奴なんだよ!?」
その叫ぶような声に、先輩も、あたし達も固まった。
成田さんと、ヤス先輩を除いて。


