「あれ、ヤスとダイじゃん。」
すれ違う他校のバスケ部の人達と挨拶を交わしながら歩いていると、少し後ろから声がした。
「……成田。」
驚いた顔をしたダイ先輩だけど、いつもと違って強張った表情だった。
「久しぶりだなー‼︎お前等って三坂だったんだ…ってか、まだバスケ続けてたんだなー。」
会話を聞いていると、中学の頃の同級生だったことがわかる。
でも、決していい雰囲気なんかじゃなくて。
だって、珍しくヤス先輩が冷たい瞳で成田って呼ばれた人を睨んでいたから。
全員驚きと、よくわからない緊張感で動けなかった。
「まさか、ダイまでまたバスケ部に入るなんて思ってなかったなー。」
「マジで?俺はバスケ続ける気満々だったぞ‼︎」
「へぇ〜、もう古傷は痛まない……」
「黙れよ、成田。」
すごくすごく低い声で、ヤス先輩が強く言った。


