「私は、友達を、大切な子を傷付けたんです…それで、やり遂げなきゃいけない事があって、立場を全うすることは、彼と幸せになることは許されない…」
「やり遂げなければいけない事と、立場を全うする事が逆位置的というのはおかしいよ。知らないうちに目を塞ごうとしているんじゃない?」
「目を…塞ぐ…」
「君は、立場を全うする事が、罪悪感と共に生きることだとわかっているから、やり遂げなければいけない事を作って償おうとしているんじゃないの…?」
彰榮は饅頭を頬張りながら、雛生を見た。試すような目に心を見透かされたようで、雛生はいたたまれなかった。もちろんそれは、彰榮の言葉が的を射ていたからに他ならない。
雛生は罪悪感から、開放されたかった。それは、間違いなく事実だった。
今、目の前にいる彰榮にも、志臣にだって、あの一瞬間に生まれた感情、全てを言うことは、到底出来ないことだった。
保身に走っていることはわかっていたはずだった。でも、心の何処かで、胡兎から、逃げてしまいたいと思っていたんだろう。
「もう、…許されないんですか…、だから、」
「違う、そういうことじゃない。雛ちゃんは、少し誤解してる」
震え出した雛生の肩を彰榮は摩りながら、優しく語りかけていく。
「今、目の前にある、現実を見て、きちんと向き合う、雛ちゃんの歩いてきた道は間違いばかりではなかったはずだよ?…もしも、君が辛いなら、雛ちゃんが好きなその人もきっとさせてくれる、僕がそうしたいように」
「軽蔑…すると思います、優しい人だから…、きっと離れていってしまう。」
声が上手くでなかった。雛生は視線を下に落とした。離れていってしまうこと、もう、誰一人として、自分の周りからいなくなって欲しくないと、無様にも縋ってしまう。
「やり遂げなければいけない事と、立場を全うする事が逆位置的というのはおかしいよ。知らないうちに目を塞ごうとしているんじゃない?」
「目を…塞ぐ…」
「君は、立場を全うする事が、罪悪感と共に生きることだとわかっているから、やり遂げなければいけない事を作って償おうとしているんじゃないの…?」
彰榮は饅頭を頬張りながら、雛生を見た。試すような目に心を見透かされたようで、雛生はいたたまれなかった。もちろんそれは、彰榮の言葉が的を射ていたからに他ならない。
雛生は罪悪感から、開放されたかった。それは、間違いなく事実だった。
今、目の前にいる彰榮にも、志臣にだって、あの一瞬間に生まれた感情、全てを言うことは、到底出来ないことだった。
保身に走っていることはわかっていたはずだった。でも、心の何処かで、胡兎から、逃げてしまいたいと思っていたんだろう。
「もう、…許されないんですか…、だから、」
「違う、そういうことじゃない。雛ちゃんは、少し誤解してる」
震え出した雛生の肩を彰榮は摩りながら、優しく語りかけていく。
「今、目の前にある、現実を見て、きちんと向き合う、雛ちゃんの歩いてきた道は間違いばかりではなかったはずだよ?…もしも、君が辛いなら、雛ちゃんが好きなその人もきっとさせてくれる、僕がそうしたいように」
「軽蔑…すると思います、優しい人だから…、きっと離れていってしまう。」
声が上手くでなかった。雛生は視線を下に落とした。離れていってしまうこと、もう、誰一人として、自分の周りからいなくなって欲しくないと、無様にも縋ってしまう。


