銀様は小さな窓から外を見ていた。白徭宮の最奥の、個人のためだけに用意された室には唯一、窓がついているのだ。その室には透茉、雪佳、そして透璃しか入ることが許されていない。
外では小さな小鳥が苦しそうにばたばたと翼を動かせていた。よく見ると、翼が赤く滲んでいた。
「透茉…」
「はい、なんでしょうか?」
「小鳥が、ばたついていますね…」
「そうですね、…気になりますか?」
そう銀様に問いながら、透茉はふわりと紅の肩掛けをかけた。
相変わらず感情の読み取れない透茉を困ったように銀様は見つめた。
「…飛べない小鳥に少しだけ、感情移入してしまっただけです」
歩く事の出来ないわたくしと飛べない小鳥、そう言って綺麗な笑顔をつくる。
逃げないように足の神経を無くす。死んでしまったように痛みもない足。
もう、どこに行く事もできない。
じわりじわりと天神楽は残りの時を奪って行く。
「銀様、貴女が行きたい場所には私が連れていきます」
「透…」
「どこまでも一緒です…」
ああ、まただ。
銀様、という役目を担いだす前から、透茉は自分の一番側にいた。
温度を感じない彼に途方もない距離を感じるくせに、時々、隙間などないくらいの近さを感じてしまうのだ。
「わたくしの名前、呼んではくれないの?」
外では小さな小鳥が苦しそうにばたばたと翼を動かせていた。よく見ると、翼が赤く滲んでいた。
「透茉…」
「はい、なんでしょうか?」
「小鳥が、ばたついていますね…」
「そうですね、…気になりますか?」
そう銀様に問いながら、透茉はふわりと紅の肩掛けをかけた。
相変わらず感情の読み取れない透茉を困ったように銀様は見つめた。
「…飛べない小鳥に少しだけ、感情移入してしまっただけです」
歩く事の出来ないわたくしと飛べない小鳥、そう言って綺麗な笑顔をつくる。
逃げないように足の神経を無くす。死んでしまったように痛みもない足。
もう、どこに行く事もできない。
じわりじわりと天神楽は残りの時を奪って行く。
「銀様、貴女が行きたい場所には私が連れていきます」
「透…」
「どこまでも一緒です…」
ああ、まただ。
銀様、という役目を担いだす前から、透茉は自分の一番側にいた。
温度を感じない彼に途方もない距離を感じるくせに、時々、隙間などないくらいの近さを感じてしまうのだ。
「わたくしの名前、呼んではくれないの?」


