天神楽の鳴き声

「変化、は悪いことではありません。間違いを恐れては何も手に入ることがない、それと同じです。…あなたに、昔話教えて差し上げましょう、その昔…」



その昔、神はこの地に自分と同じくらいの力を持つ存在を創り出そうと考えた。

それはそれは小さな小さな木に自分の力を分けた、

ゆるりゆるりと我が子を抱く様に育て上げると、それは一つの大地になりました。


「そのあと、その木は四方にその大地を支えるため北蘭(ホクラン)、南藤(ナントウ)、東桐(トウギリ)、西蓮(セイラン)を置きました。そしてその木自体は真ん中に。それがのちの天神楽です…」


そこに他の生命(いのち)が生まれ、富栄えてゆくことになる。
それが、霞榴国の始まり。

天神楽は、神から分けられた力でこの地を守護するには足りませんでした。

だから、土地に住む人を喰らい、足りない力を捻出したのです。


争いが頻出すれば、
供物のように、
贄のように捧げられた人間が足りなければ、
天神楽は鳴く。


すると、大地は軋むのです。守護はきれ、途端に崩壊へと進んでいく。

「それを防ぐため、天神楽の宮は造られた…」

「私が、先生たちに聞いた歴史では、天神楽は絶対の神だと、教えられました…」


この世界に、この国に、元の神がいるならば、
天神楽は一体なんなのか。
そう聞くと、銀様は人差し指をたて、少女のように笑った。