天神楽の鳴き声

春礼はそっと透茉の頬に触れた、少しびくついて、なんですか、と小さな声で聞き返される。

「貴方の、今の赤くて綺麗な顔がすごく好き。もっとよく見たいの」
「そんなこと言うのは貴方ぐらいのものですよ…」

呆れた顔をしつつも赤みの引かない彼の顔を飽きる事も無くただ春礼は見つめていた。
彼女もまた、彼とのつながりと深い運命を確実なものとして感じ取っていた。
お互いの心の中でストンと落ちる感情の名は、気づかないふりをするしかなかったのだ。

これは少し昔の話、私と庭に咲く赤い花と同じくらい赤い頬の彼の話。