そして、私の頭上で女性の刀が構えられる。

「真っ二つにする気?」


「私の刀をなめんじゃないわよ。人ぐらい、安々と斬れるわ?」



「へぇ、羨ましい」


「さっさと言え。こっちもそこまで気長に待てるようなお人よしじゃないから」


「そうかいッ・・・・!」



瞬時に私は刀の刃を掴み、口を開ける。そこから放たれる稲妻のような光。「くっ・・」と声を漏らしながらも女性は間一髪かわしたようだった。



「根性のあるやつね」



「それは褒め言葉として受け取っていいのかな?」



握りしめていた刀は柵の向こうへに放り投げる。赤く染まった刀はそのまま、真っ逆さまに落ちていく。



「私の刀を握りしめたかと思えば、捨てるとはね・・・・!」



「あ、怒ってる?」



ニコっと笑う。だが、とても笑える状況ではない。刃を握りしめていた手からは滝のように血が流れ出ている。このまま流れ続ければ死ぬ、そんなこと、私自身もわかっていた。




「でもいいわ。戦うものもあるし、貴方の体も早々持たないだろうしね?」




そういって女性はガスマスクの集団の中から刀を奪い取る。体が持つだろうか、そんなことが脳裏をよぎった瞬間――――