この世に本当の私はいない



「今日は勉強教えてくれておりがとな。すげぇわかりやすかったよ。」




「そんなことないって。あたしなんかでよかったらいつでも頼ってよ。」



こころにも思ってない決まり文句でそう返した。


だいたい分かりやすくないなら教えないもの。それってただのおせっかい。

そんな感じであたしの心はまた黒い渦の中に吸い込まれていく。



醜いのよ本当は。素直じゃないの。