最初、ここで歌っているのが見つかったときには、とても警戒していた。だって、あの女好きの桜木くんだし。
...でも、優しく微笑む桜木くんを見たら、桜木くんは本当は優しい人なんじゃないか、そう思ったんだ。
だから、名前と学年まで教えたし、両親の事も教えた。
今までお父さんとお母さん以外、新しい家族も誰も信じられなかった私。
だけど、桜木くんに抱きしめられながら、この人なら信じてもいいんじゃないか───...、何故かそう思った。
「...うぅっ...」
この温かくて優しい温もりの中で─────...。