そんなあなたは先生でした…(上)


保健室には保健の先生がいなかった。

仕方ないなぁ。


「そこに座って下さい」

意外にも素直に座る城之内くん。

あたしは保冷剤をタオルで包み渡した。

「とりあえず冷やして」

「あぁ…」

棚から湿布をとりだす。

「出血はありますか?」

「まぁ、ちょっと…」

じゃぁ、止血のために絆創膏っと。


あたしは絆創膏を貼ってあげた。


「痛い?」

「まぁ、でもさっきよりはましにまったよ。ありがとう」


城之内くんの口から
“ありがとう”


耳を疑った。

「今、ありがとうって言ったんですよね?」

「え、で?」

「いやー、珍しいなぁって…」

「じゃぁ、取り消すか」

な、なんて……

「いえいえ、嬉しいから」

あたしは笑顔で答える。

城之内くんは黙ったまま、
視線をずらした。