きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




「どうした?」


急にキョロキョロし始めたあたしを、いぶかしげに見る雄平。


「宮下ならあっちの池で鯉にエサやってたぞ」


「えっ」


香織の名前が出て、ドキッとする。


一瞬、香織の気持ちがバレてしまったのかと思って焦った。


雄平にしてみると、いつも一緒にいるはずのあたしと香織が別々にいるから、どうしたのかと思っただけなのだろう。


「あ、なーんだ。置いて行かれちゃった」


わざとらしくならないように言う。


「杏奈がノロいからだろ。さ、行くぞ」


雄平は、あたしの頭にポンッと手をのせてから、先に歩き出した。


あたしは、複雑な気持ちで、その後を追う。


雄平の手が頭に触れた時、不覚にも胸が跳ねてしまった。


香織の応援をしている身で、ドキドキなんてしてはいけないのに。


もう、そんなことしないで…そう言いたい。


けれど、どこかで、雄平にとって一番近い存在でいたいと思うあたしがいた。


それはもちろん、“女友達”として。


香織の恋は応援するけれど、雄平と友達でいることは、変わりたくないから。


男女の友情は存在しないっていうけれど、あたしと雄平なら、大丈夫。


そう、思いたい。