「どうした?」
急にキョロキョロし始めたあたしを、いぶかしげに見る雄平。
「宮下ならあっちの池で鯉にエサやってたぞ」
「えっ」
香織の名前が出て、ドキッとする。
一瞬、香織の気持ちがバレてしまったのかと思って焦った。
雄平にしてみると、いつも一緒にいるはずのあたしと香織が別々にいるから、どうしたのかと思っただけなのだろう。
「あ、なーんだ。置いて行かれちゃった」
わざとらしくならないように言う。
「杏奈がノロいからだろ。さ、行くぞ」
雄平は、あたしの頭にポンッと手をのせてから、先に歩き出した。
あたしは、複雑な気持ちで、その後を追う。
雄平の手が頭に触れた時、不覚にも胸が跳ねてしまった。
香織の応援をしている身で、ドキドキなんてしてはいけないのに。
もう、そんなことしないで…そう言いたい。
けれど、どこかで、雄平にとって一番近い存在でいたいと思うあたしがいた。
それはもちろん、“女友達”として。
香織の恋は応援するけれど、雄平と友達でいることは、変わりたくないから。
男女の友情は存在しないっていうけれど、あたしと雄平なら、大丈夫。
そう、思いたい。



