最初の目的地に着き、電車を降りた。
今日一日の移動に使う大型バスに乗り込み、歴史的建造物を見て回る。
歴史が苦手なあたしは、何百年も存在し続けるお寺や塔を見て、ただただ圧倒されるだけだった。
もっとちゃんと勉強してくればよかった。
受験用の勉強だけしても、こういう時に全然役に立たない。
「なに難しい顔してんの?」
いつの間にか隣に立って、腕組みして塔を見上げていた雄平。
「うん、どうしてこれを建てたのかなと思って」
「杏奈、真面目だね。俺なんか、あんな高いとこまで階段で上るのキツイなーとか思って見てた」
目を細めて、塔の最上階を見つめる雄平。
「てっぺんにいる時、トイレ行きたくなったらヤバいよなぁ」
あまりにも真剣に言うので、笑えてくる。
「ここに来てそんなこと考える人も珍しいと思うよ」
「あ、そう?」
雄平が笑い、あたしははっとする。
少しでも多く雄平と一緒にいたいはずの香織を探すけれど、こういう時に限ってそばにいない。



