きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




そしてついに、修学旅行当日。


主に電車での移動となり、集合は駅。


大きなバッグと、移動用の小さなバッグを持って歩いていると、


「伊田、荷物多すぎ」


小さめのドラムバッグを肩にかついだ千葉が、あたしの横に並んだ。


「千葉こそ、荷物少なすぎ。忘れ物してんじゃないの?」


「必要な物だけ持ってくれば、こんなもんだって」


そう言いながら、自然な仕草であたしの手から大きい方のバッグを取る。


「そこの階段だけな」


集合場所の手前には、階段がある。


でも、階段があるのはまだ先だし、そんなに長くもないから、わざわざ持ってもらうまでもないのだけど。


最近になって気付いたことだけど、千葉は優しい。


しかも、ごく自然にそうしてくれるから、それに気付いた時、ちょっとドキッとしたりする。


あたしはこんなふうに優しくされるのには慣れていなくて、


「わーい、ラッキー」


ついふざけてしまう。


「てか、重いんだけど。いったい何入ってんの?」


「女の子は色々必要なの!」


「ふーん、大変だな」


あたしの冗談をわかっているのかわかっていないのか、あいまいな反応。


クールな千葉の表情は読みにくい。