学級会の時間だけでは計画が決まるわけもなく、その日から放課後の時間も使って、みんなで話し合いをした。
それぞれが一番行きたい所は何とか調整して計画に盛り込み、みんなが納得できるような形に持っていくことができた。
手作りの旅のしおりも、みんなで協力して、良い物ができそうだ。
準備が進むごとに、気持ちも盛り上がってくる。
「遠足は準備が一番楽しいって言うよな」
千葉があたしの横で“持ち物リスト”を清書しながら、ぼそっと言う。
「準備も楽しいよ。でも、当日はもっと楽しい、絶対!」
あたしが力強くそう言うと、千葉も笑って頷いてくれた。
「卒業まで、あと半年か…」
千葉は背もたれに体を預けて、窓の外を見た。
あたしもその視線を追うと、グラウンドで運動部が練習しているのが見えた。
かつて千葉が所属していた陸上部だ。
たしか、千葉達三年生は、夏休み前に引退しているはず。
千葉の、先輩らしいあたたかな、けれど淋しげな視線。
“卒業”という言葉を聞くと、しんみりする。
確実に近付いているその日を、意識せざるを得ない時期。
千葉も、卒業が淋しいんだ。
千葉だけじゃない。
みんな、淋しさと、そして不安とで、心が押しつぶされそうになっている。
だから、
「思い出、いっぱい作ろうね」
あたしは、グラウンドで走る男子生徒を目で追いかけながら、言う。
千葉も、小さく頷いた。



