きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




不機嫌なあたしに、雄平は尚もからんでくる。


あたしの机に片手をついて、覗き込むようにして言う。


「杏奈には俺がいるじゃん」


だから…


あんまり軽々しくそういうことを言わないでよ、と言いかけた時。


バサバサッと豪快な音がして、足元に数冊のノートが飛んできた。


それと同時に、か細い女の子の声が上がる。


「きゃっ!ごめんなさいっ」


持ち主だったらしい子が床に膝をついて、ノートをかき集め始めた。


「大丈夫?」


あたしも雄平も席を立ってそれを手伝う。


近い距離で目が合った彼女は、情けなさそうに眉を下げて笑った。


「ありがと」


その笑顔に、あたしは思わずどぎまぎとする。


小柄で、やわらかい雰囲気を持つ彼女は、あたしとは正反対の、かわいらしい女の子。


うらやましくなるくらい、女の子らしい。