さっと盗み見た香織は、やっぱり、複雑な表情をしていた。
いつもの調子で雄平とやり合ってしまうけれど、これからはそうはいかないんだと気付く。
香織が雄平のことを好きだと打ち明けてくれたのだから、自分ではなく、香織が雄平と接する機会を作るようにしてあげるべきだ。
「香織が行きたいって言ってた神社、どこだっけ?」
そう尋ねると、香織はガイドブックをめくり、その神社を見つける。
「えっとね…ここ!」
香織はいつもの笑顔を取り戻す。
「雄平、ここ知ってる?」
雄平に声をかけると、体を乗り出して、香織の前に置いたガイドブックを覗き込む。
「えーと、何だっけ、香織。この神社って…」
ちょっとわざとらしいかと思いながらも、あたしは首をひねってうなる。
「学問の神様だよ。ここのお守り、すっごくよく効くって」
「マジ?すげー。行こうぜ、そこ」
香織と雄平が楽しげに会話を始めてくれて、ほっと胸をなでおろす。



