きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




恵のことは美保にまかせて、あたしも学校から支給されたガイドブックをパラパラとめくる。


「あ!ここ行きたいな」


「ん?どこ?」


ページをめくる手を止めると、香織が覗き込む。


「このみたらし団子、すっごいおいしそう」


老舗のお菓子屋さんの写真を指しながらそう言うと、


「ぶっ」


机を合わせた向こう側で、雄平がふき出す。


「おまえ、串スキだね」


串?


あ、夏祭りの、焼き鳥のことだ。


確かにあたし、串に刺さったものばかり食べたがっている。


「焼き鳥もみたらし団子もおいしいじゃん」


口をとがらせてそう言うと、


「ん?なになに?焼き鳥って何?」


森があたしと雄平を交互に見る。


「別に何でもねーって」


雄平が言うと、森はますます興味を持ち始めた。


「なんだよ、怪しいぞー。二人だけの秘密、的な?」


“二人だけの秘密”という言葉に、胸が小さく跳ねる。


焼き鳥のことは香織も知っているけれど、あの日、あたし達には本当に、“二人だけの秘密”があるから。


「ばぁか、そんなんじゃねーって」


そう言うけれど、言えば言うほど怪しくなるもので、なんだかみんなの視線が痛い。


そして、香織の視線も。


好きな人が、他の女の子と一緒に冷やかされているのを見るなんて、きっと嫌な思いをしている。


「香織は何食べたい?」


香織にガイドブックを差し出しながら尋ねると、すかさず雄平が突っ込む。


「“何食べたい?”じゃなくて、“どこ見たい?”だろ。修学旅行なんだから」


「確かに」


みんな笑って、ようやくその場の雰囲気が変わり、ほっとする。