きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~



一呼吸置いてから、ドクンと心臓が脈打つ。


好きな人って、まさか、


「あたし、雄平君のこと、好きになった」


やっぱり。


「そ、そうなんだ」


聞きたくなかった。


「でもさ、香織だったら雄平なんかよりずっといい人見つけられそうだけど」


そう言って笑ってみせるけれど、


「雄平君は素敵な人だよ」


香織はまっすぐにあたしを見て言った。


まるで、あたしの目の奥にある、本当の心を探し当てようとするみたいに。


あたしは目をそらし、かき氷の山を崩す。


「そっか、雄平モテるもんね、実は。ついつい忘れちゃうんだけど」


「杏奈は…近すぎるから、気付かないんだろうね」


香織はそう言って目を伏せる。


淋しそうに響いたその言葉は、あたしの存在が、香織を傷つけていると言ったようだった。


そんな罪悪感から逃れたくて、思わず口をついて出た言葉は、


「協力するよ!」


自分でも、強がりに聞こえた。


でも香織は微笑んでくれた。


「ありがと」


あたしは何かを、失った気がした。


氷はもうほとんど溶けて、オレンジ色の液体が残っていた。