一呼吸置いてから、ドクンと心臓が脈打つ。
好きな人って、まさか、
「あたし、雄平君のこと、好きになった」
やっぱり。
「そ、そうなんだ」
聞きたくなかった。
「でもさ、香織だったら雄平なんかよりずっといい人見つけられそうだけど」
そう言って笑ってみせるけれど、
「雄平君は素敵な人だよ」
香織はまっすぐにあたしを見て言った。
まるで、あたしの目の奥にある、本当の心を探し当てようとするみたいに。
あたしは目をそらし、かき氷の山を崩す。
「そっか、雄平モテるもんね、実は。ついつい忘れちゃうんだけど」
「杏奈は…近すぎるから、気付かないんだろうね」
香織はそう言って目を伏せる。
淋しそうに響いたその言葉は、あたしの存在が、香織を傷つけていると言ったようだった。
そんな罪悪感から逃れたくて、思わず口をついて出た言葉は、
「協力するよ!」
自分でも、強がりに聞こえた。
でも香織は微笑んでくれた。
「ありがと」
あたしは何かを、失った気がした。
氷はもうほとんど溶けて、オレンジ色の液体が残っていた。



