夏も深くなり、塾の夏期講習は折り返し地点。
最終日には、講習の成果を見ることにもなる、高校入試の模擬試験を受けることになっている。
塾のお昼休み、あたしは香織と向かい合って、なんとなくテキストをパラパラとめくる。
でも、どうにも集中できない。
それというのも、
「暑ぅ。ねえ杏奈、菊水堂でかき氷食べて帰ろうよ」
いつもピシッとしている香織も、今日ばかりはだるそうに椅子の背もたれに寄りかかっている。
朝見た天気予報で、今日はこの夏一番の暑さになると言っていた。
「あ、いいねー。行こう行こう」
菊水堂とは、この辺りで唯一の甘味処で、夏はかき氷やあんみつ、冬は今川焼やおしるこが食べられる。
月に二、三回だったら中学生のおこづかいでも行けるくらいの、良心的な価格設定がうれしい。
他の子にも声をかけようとすると、
「ごめん、今日は二人がいいな。杏奈に相談があるの」
少し声をひそめる香織。
相談なんて、香織にはめずらしい。
志望校のことかな?
そんなわけで、塾が終わった後、二人だけで菊水堂を訪れた。



