ホタルは、きれいな水がないと生きられないと聞いたことがある。
その存在の尊さと美しさに、涙が出そうになった。
「俺が見つけた特別な場所。たぶん誰も知らないぞ」
雄平が誇らしげに言う。
“特別な場所”…。
「そんな大切な場所を、あたしに…?」
「おう。杏奈だけ特別だからな。誰にも言うなよ」
その言葉に、胸がきゅっとしめつけられる。
心の中で、雄平に問いかける。
あたしのこと、特別だって思ってくれてるの?
ねえ、雄平。
雄平にとってあたしって、どういう存在…?
雄平の横顔を見つめるけれど、暗くて表情が見えない。
胸が苦しくて、息が詰まりそうだった。
「さ、そろそろ戻るか!みんなに気付かれちゃうもんな」
そう言って雄平は歩き出す。
もうあたしの手を引いてはくれなかった。
その背中に言う。
「雄平、ありがと。うれしかった」
雄平は振り返り、照れくさそうに笑った。



