雄平に手を引かれたまま、二人で暗闇を走った。
雄平の手のひらに、あたしの手のひらがおさまっている。
前に手首を掴まれた時と違って、手を、繋いでいる。
あたし、初めて雄平と手を繋いでいる。
茂みをかきわけるように、神社の横を抜けた。
「足元、気をつけて。川あるから」
だんだんと暗闇に目が慣れてきて、薄ぼんやりした月明かりの下、小川が流れているのを知る。
「あ!」
雄平が小さく声を上げた。
そして立ち止まり、あたしの方を振り返った。
「杏奈、あれ」
雄平がうれしそうに茂みを指差す。
その先に目をこらす。
するとそこに、いくつもの、光の点があった。
「…ホタル?」
「そう!」
その光は、ホタルが放つものだった。
淡い光が、優しく、ゆっくりと、点滅を繰り返す。
初めて見るその光景に、言葉を失う。
この街にホタルがいたなんて知らなかった。



