シュッと音がして花火に火が点き、緑色の炎が勢いよく噴き出す。
向こうではオレンジの光、その向こうではピンクの光。
色とりどりの光が、クラスメイト達の顔を浮かび上がらせ、みんなの笑顔が見える。
その光景があまりに幻想的で、なぜだか急に感傷的な気分になった。
こうしてあと何回、みんなで笑い合えるんだろう…、そんなことを考える。
中学三年生という特別な一年を一緒に過ごしている、大切な人達。
そんな彼らのほとんどと、もうすぐ離れ離れになってしまう。
小学校から中学校へと上がる時とは全く違う別れが、待っている。
みんな、その別れを乗り越えるために、こうして思い出を作ろうとしている。
いつも以上にはしゃぐのは、きっと、ただ楽しいからじゃない。
この時間を、特別なものにするため。
この時間が、とても貴重なものだとわかっているから。
今後、中学生時代を象徴することになるだろう最後の一年を、最高の思い出で満たしたい。
そのことが、これからの自分を支えてくれる。
意識せずとも、みんな心のどこかでわかっているんだ。
「杏奈ー!ドラゴンやるよ!」
美保が、あたしに手を振っている。
「あー!待って!今行く!」
あたしは、まだ火の点いたままの花火を大きく振って応える。
夜の空気に光の帯ができて、消えた。



