後頭部に、小さな何かが当たったような軽い衝撃。
頭上の木から虫でも落ちてきたのかと思い、小さく悲鳴を上げてしまった。
「ひっ!」
口を押さえるも既に遅く、
「杏奈?どうしたの?」
香織が駆け寄ってきて、
「あっ…、もー雄平君!」
何かに気付いて雄平を叱りつける。
雄平の方を見ると、くつくつと笑いながらあたしを見ていた。
香織がしゃがみこんで何かを拾い、見せてくれる。
手のひらには、小さな鈴。
「あ…!」
それには見覚えがあった。
ついさっき露店で見たばかりの、犬の形をしたキーホルダー。
二頭身で体の部分が鈴になっており、ピカピカの金色に赤い紐がついている。
昔、家で飼っていた犬に似ているせいか、手に取って見ていたものだった。
これが、あたしの頭に当たった?
雄平が投げた?
でも、どうしてこれを、雄平が持ってるの?
怒るタイミングを完全に失ったあたしは、香織の手からそれを取り、悔し紛れに雄平に投げる。
ちょっと高めにそれてしまったのに、雄平はいとも簡単につかみ取った。
そして、満足げにニカッと笑って言う。
「そろそろ花火行こうぜ」



