みんなと別れ、三年二組の教室に足を踏み入れるも、知った顔を見つけられずに立ちつくす。
あたし、この一年、大丈夫…?
心細さに、思わず泣きそうになる。
その時、
「杏奈、杏奈」
耳に馴染んだ声が届き、既に席に着いている雄平の姿を捉えた。
さっきのやり取りも忘れ、思わずほっとしてしまい、雄平のもとへ駆け寄る。
「座席表、前に貼ってあるよ」
雄平が指差す先には、黒板に貼られた一枚の紙と、それに群がるクラスメイト達の姿。
「ありがと。見てくるね」
そう言って前方に向かおうとすると、腕を掴まれた。
「杏奈の席、ここ」
反対の手で、隣の席を指差す雄平。
まさか…
「隣だって。運命だね」
雄平は口の端を持ち上げて、ニヤッと笑った。
あたしはため息と一緒に、
「そうかもね。ただし、“最悪の”…ね」
そう言うと、雄平もおかしそうに笑った。



