雄平は隣の屋台に移り、
「よし、気を取り直して金魚すくいだ!かおりん、どれがいい?」
と聞く。
金魚は欲しくないのか、またしてもドS香織が顔をのぞかせる。
「あの大きい出目金」
当然のごとく、すぐに紙に穴が開いて、雄平はがっくりと肩を落とす。
「くっそー!次行くぞ!」
やけになる雄平に、笑いながらついていく香織。
無理難題を言っておきながら、一生懸命応援する所が、香織らしい。
香織のために必死になっている雄平の背中に、心の中で問いかける。
どうしてあたしには聞いてくれないの?
『杏奈、どれ取ってほしい?』…って。
あたしは串に残っていた一番下の焼き鳥を口に入れながら、本当にビールでも飲みたい気分で、無邪気に雄平の肩をたたいて応援する香織を見ていた。
こんなふうに、笑い合えたら楽しいだろう。
一生懸命応援されたら、うれしいだろう。
あたしはいつも、憎まれ口ばかり。



