夏休みに入ると同時に始まった、塾の夏期講習。
普段は塾に通っていないあたしだけど、自分だけで受験勉強をするには限界があるので、香織と一緒に夏期講習と冬期講習だけは通うことにした。
同じように、休みの間だけ塾に通う人が多いらしく、初日は知った顔ばかりを見つけて驚いた。
もっとも、この街には塾が少ないから、こうなることも当然といえば当然なのだけど。
「夏休みって感じがしないなぁ」
「でも私服姿は新鮮かも」
顔を合わせてみんなで笑い合う。
けれど、その場所に雄平はいなかった。
前回のテストではあまり成績は良くなかったはず。
そういえば、雄平と志望校の話をしたことがない。
あの成績なら、市内だと三番目の高校あたりだろうか。
あたしは一応、トップの高校を狙っている。
だから高校は、きっと別々。
そんなことを考えていたら、胸がチクッと痛んだ。
ふざけ合う相手がいなくなるのは、やっぱり淋しいから。