きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




あの日の傷が癒えたわけではないけれど、あたしはなんだか清々しい気持ちで、将太君の背中を見送った。


あの日、1500メートル走の途中で倒れてしまったショックもあって、将太君は感情が不安定になっていたのだろう。


自分の感情をコントロールできなくなり、突飛な行動に出てしまうのは、理解できないこともない。


将太君はあたしのことを好きでいてくれたために、あんなことをしてしまったのだし、今こうして謝りにも来てくれたのだから、あたしが彼を許さない理由は、もうない。


あまり会う機会もないかもしれないけれど、かわいい後輩として、これから付き合っていけたらいいと思う。


「『じゃーな、杏奈っ』」


背後から、変な声色を使った男子の声が飛んできた。


「あ…!」


忘れていた。


みんながいたんだった。


「モテるお姉さんは辛いねー」


「うるさーい!」


冷やかす男子達を思いっきり怒鳴りつけると、ギャラリーが一斉に去っていった。