きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




二人がにらみ合っている。


「雄平、いいから」


あたしは雄平を押しやって、将太君と向き合った。


なんだか少し大人っぽくなったみたいだ。


男の子の成長は早い。


「どうしたの?将太君、何か用?」


問いかけると、将太君はいきなり頭を深く下げた。


「悪かった!」


「へ?」


唐突すぎて、間の抜けた声がもれる。


「突然あんなことして、俺、最低だった!ごめん!」


体育大会の保健室でのことを、謝ってくれているんだ。


悪い子じゃ、ないんだ。


それはわかっていた。


だから悲しかったのかもしれない。


「もういいよ。ね、顔上げて」


肩に触れて顔を上げるように促す。


すると将太君は、跳ねるように顔を上げ、勢いよく後ずさった。


顔がさっきより真っ赤だ。


初めて会ったあの日と同じだ。


将太君はあたしと視線を合わさず、早口で言う。


「あ、えーと、これからも、話しかけたりしても、いい?」


「え、うん。それは、全然、かまわないけど」


するとようやく顔を上げ、あたしを見た。


次の瞬間、うれしそうに笑って、


「よっしゃ」


小さくガッツポーズして、


「じゃーな!杏奈!」


元気よく走り去った。