雨がしとしとと降る日の昼休み。
電気を点けても薄暗い教室でお弁当を食べて、みんなとおしゃべりしていた時だった。
「伊田ぁ!お客さん!」
廊下からクラスメイトの男子の声が飛んできた。
クラス中が注目する先、開け放たれたドアの向こうに小さな姿があった。
将太君だ。
カチコチに体を強張らせているのが、遠目にもわかる。
勝気な将太君でも、二年も先輩の教室が並ぶ階に来るには、勇気が必要だったに違いない。
あちこちから冷やかしの声が飛んで、顔が真っ赤だ。
あの体育大会のことがあって、将太君には近付きたくなかった。
正直、顔を見るのも嫌なくらい。
戸惑っていると、ガタン!と音を立てて、雄平が席を立ったのが視界に入った。
「てめぇ、よく顔見せられたなぁ…」
つかみかかるほどの勢いで、将太君に歩み寄る。
「お!三角関係か!?」
誰かが冷やかす。
あたしは恥ずかしさに耐えかねて、雄平を追って廊下に出た。



