将太君のことを考える。
かわいいと思っていた男の子が見せた、“男”の一面。
怖かった。
そしてそれ以上に、悲しかった。
男子とは対等だと思っていたのに、やっぱり力ではかなわなくて、ああいう場面で女は弱者なんだと思い知らされる。
力でなら簡単に、大切なものを奪われてしまう。
自分はそういう存在だった。
そして将太君は、それを実行しようとした。
将太君のことはほとんど何も知らないけれど、自分の回りにいる男子を、あたしは無条件に信じ切っていた。
でもそう考えると、男の子って、すごく優しい存在なのかもしれない。
力では女子より上なのに、それをきちんとコントロールして、それ以外の部分で対等に接してくれる。
女子はわりと、女であることを利用したりするのに。
簡単に泣いて、“女の武器”で男子を困らせたりする。
あたし達は、知らず知らずに、守られてるのかもしれない。