美保がうれしそうに、
「まじ?さんきゅー」
と言うけれど、森は顔の前で手を横に振って否定する。
「いやいや、伊田と宮下のことだって」
その言葉に、
「え!?」「えっ」
あたしの不機嫌な声と香織のうれしそうな声がハモり、
「ひどーい!」
他の女子達の非難の声が重なる。
「まぁ、杏奈と香織はかわいかったのは認めるけどぉ」
美保がふくれて森をにらみ、森も冗談めかしてそれに応える。
「はいはい、君達も綺麗でしたよ」
「ふふん。さんきゅー」
まんまとそう言わせた美保は、満足そうに笑う。
そのやりとりを見ながら、香織がこっそりと耳打ちしてくる。
「ね、言った通りでしょ」
『杏奈、綺麗だもん』
朝、香織が言ってくれたこと。
からかわれているだけだと思ったけど、他にもそう思ってくれた人がいるなんて、照れくさいけれど、やっぱりうれしい。
『エッチな目で』
と言われたことは、この際忘れてしまおう。
今日は将太君のこともあったから、考えるほど、男子を見る目が変わりそうで怖い。
雄平の顔をちらりと盗み見たけれど、この話題に入る気はないらしく、無表情でジュースを飲んでいた。
いつも話題の中心にいる雄平らしくない態度。
雄平なりに、あたしに気を使ってくれたかもしれない。



